Dr岩田健太郎2
●Dr岩田健太郎2
●気道感染のマネジメント
風邪?
…気道感染をしっかり7つに分類を!(Big7)
1) common cold
2) pharyngitis
3) sinusitis
4) influenza & I-like illness
5) bronchitis
6) pneumonia
7) otitis media
1) common cold
「くしゃみ鼻水鼻づまり」微熱、倦怠感、頭痛など漠然とした症状
緩徐なonset
抗菌薬いらない
苦しんでいることを治療する
熱ざまし、抗ヒスタミン、etc
妊婦と知らなくていろいろ薬出したり…
ちなみにPLの抗ヒスタミンは、高齢者に 尿閉の原因。ふらついて倒れたり…
2) pharyngitis
比較的急性発症
高熱と喉の痛み、腫れ
咳鼻水はあまりない
…抗生剤が必要なときがある
6割はviral
bacterialは、抗生剤!
・カナダルール
BT> 38度
咳なし
前頚部リンパ節腫脹、圧痛
扁桃が腫れている・浸出物がある
3〜14歳 1点
15歳〜44歳 0点
45歳以上 -1点
→ 2〜3点なら検査
4点以上は抗菌薬だしてよし (だいたいmax63%の感度 20%から)
…培養は、確実だが日数がかかる
迅速検査は感度9割
溶連菌は必ずペニシリンが効く
…実は、治療しなくても結構治る
抗生物質使うと、
症状は1日早く収まる
リウマチ熱の予防効果
(舞踏病、結節熱)
糸球体腎炎は予防できないという意見もある
伝染性単核球症
ジフテリア
淋菌
咽頭結核
HIV を忘れるな
・リンパ節の触り方
顎下
前頚部 …細菌性はまず出やすい
後頚部 …EBVはでやすい
甲状腺 …亜急性甲状腺炎はないか?
後頭部
・扁桃腺は?
ただ大きい ただぽこっとある
炎症ではれている 赤みが強い
3) sinusitis
頭痛めまい鼻水鼻づまり 痛み・目の周りの違和感
一見不定愁訴だが、鼻周辺に症状集中、前かがみで増悪
咳を伴うことある
診断は…
CTは感度高いが、待ち時間を増やす
感度も高すぎる(症状ない人でも、副鼻腔炎あったりする)
診察は、
・顔面の圧痛(指の平で軽く押してあげる)
左右差あり
目の間を押すとシコツ洞に届くが、感度は低い
喉に後鼻漏はないか
耳鏡で鼻炎チェック
治療は、
ヨーロッパは、使わない
アメリカは、最近使わなくなった
日本は、何も考えずに抗生剤使う
抗生剤を使わなくても7〜8割はなおるから、ほっぽっとく
対症療法の抗ヒスタミンや、ステロイドや、漢方薬を
2〜3割は、抗生剤を。
使うべきは
・熱が高い
・痛みが強い
・膿が出ている(口とかかあ)
・7日以上症状が続いている
肺炎球菌、モラキセラ、などが起因菌
AMPCが第一選択
効かないとかアレルギーがあるなら、ほかを考える
7) otitis media
sinusitisとほぼ同じ
7〜8割は抗生剤使わないで治る
重症例に抗生剤を使用する。
4) influenza & I-like illness
RS、パラインフルエンザも同じような症状出る
急性の高熱、悪寒、間接の痛み、喉の痛み(腫れはない)、咳・鼻水
抗菌薬は肺炎の予防効果なし
タミフルは?
数年前までは「○○の一つ覚え」だったが、
タミフルの不利益も検討を。
・副作用
・非常時の備蓄を
・耐性ウイルスの可能性は
…楽天的な診療は、できない!
→推奨事項
・健康で合併症のない成人・小児にはタミフルを出さない
(強い要望があるなら個別に対応)
・健康な人にたいする効果は
合併症は減少しない
症状回復を1日早める
死亡率は下がらない
・ほかの人への感染性を下げるデータはない
→感染期間は人前にでるな タミフルのんでいても
リレンザは
タミフル耐性にも効果はあるかもしれないが
・パソコン、電話触った後は手を洗え
5) bronchitis
・レントゲンで肺炎の影がないが、痰が出る
…診断があいまいで悩ましい
アメリカでは、90%以上はウイルス性だから抗菌薬を使うな!と学会では言っている。
が、診断基準がもともとあいまいな病気だから、わからない
グラム染色をしていると、けっこう肺炎球菌が見つかる
軽症例なら、外来フォロー
非定型が結構隠れている
免疫が弱っている人はiwata的には抗菌薬つかっちゃうが…
6) pneumonia
遅れて現れる浸潤影に注意
類似疾患に注意
肺炎球菌(GPC)、モラキセラ・インフルエンザ桿菌(GNR、ちっちゃいだるまのように球菌みたい)
マイコプラズマ、肺炎クラミジア、レジオネラ
非定型は、疑いあれば必ずカバー
一般論は
・亜急性
・全身症状 消化器症状 あり
●グラム染色
GPC
GNR
気管支炎と肺炎 で痰が出ていたら、染めろ!
●TB
日本は先進国で飛びぬけて多い!
否定できていなかったら、キノロンは使うな!
抗結核作用あるから
病歴でほとんど診断がつく
漠然とした長い症状
微熱、咳、倦怠感、寝汗、痰、胸痛、体重減少、
リスクファクター、暴露歴
疲労、栄養不良、合併症、免疫不全、HIV
●咳止め
「くさいものに蓋」
咳を見つけたら原因検索
もっともやってはいけないのは抗生剤
・慢性の咳なら、
GERD
副鼻腔炎
咳喘息 〜気管支拡張薬でトライ
ACEi
成人百日咳(症状少ない)
TB
肺癌
心不全、COPD
「必ず胸部X線を!」
「わけのわからなかった咳を、わけのわかる咳に」
…抗生物質で慢性の咳はなおらない!
●風邪
なおっちゃう。けれど実際は、からだが自然になおしている
「社会正義 もたいせつ」
1年後、10年後も。裏の部分、耐性菌、次の患者も考える。副作用・コストも考える
…「私の子だけは」という感情的なからみも、たいせつ
なんできたのか、もたいせつ
肺炎が心配なひとには、レントゲンをとってあげればいい
風邪のとき有効な close-ended question
短い時間で隠れたニーズを引き出す
風邪、タバコがまずくなる
ここは禁煙指導のチャンス!
フォローアップは、1週間後
連絡先を渡しておくこと
もし悪くなったら連絡ください
抗生剤を使わない、万が一のときのフォロー
メールは24時間以内に返す
●外来の尿路感染
・診断
検尿: 蛋白、白血球、沈渣、培養
病歴: 頻尿、排尿時痛、残尿感、結石で嘔気
・部位
尿道 〜STI (排尿時痛、尿道の膿、潰瘍、性活動)
膀胱 〜頻尿、排尿時痛、残尿管 (性活動でもリスク高まる)
前立腺
腎盂腎炎 〜症状が強い(腰痛、下腹部痛) 〜入院の適応
・男女でマネジメントが違う
女性は、尿道が短く肛門が近いためおきやすい
男性は、起こしにくい
もし男性が起こしたら、原因精査しないといけない(子どもでも)
・前立腺肥大、結石、免疫低下、前立腺炎 …
前立腺を触る!
キノロンやSTを長めに使わないといけない
CTなどは見逃しが多い
女の子は、精査の必要はない
診察不要
検尿、尿培養
妊娠していないことは確認
ニューキノロン、STは禁忌 〜これらだったら3日間だが
AMPC、CEZで5〜7日
尿培養
不要の意見もあるが…
地域の感受性パターンの把握
再発時の次の手段の把握を
サンフォードは アメリカ全土の薄まった地域のガイドブック・最大公約数
地域のものとは別
陽性カットオフは、10^3がいいと言われる
検査陽性だが症状がないとき
無症候性細菌尿
無症候性でも治療しなければいけないのは…
・妊婦!
・泌尿器科系外科手術前
合併症としての腎盂腎炎のリスクが変わる
DMは、予後変わらなかった NEJM 2002
・腎盂腎炎はどれくらいの期間抗菌薬を使うのか
尿培養・CRPフォローは不要
一般的には10〜14日
キノロンは7日間
複雑性なら3週間以上
・治療より大事なこと
再発しやすい方なら、十分な水分補給と排尿を
肛門から前に拭く人は感染起こしやすいと言われる
膀胱炎1/4は1年以内に再発すると言われている
生活指導をするためには生活パターンを知らないと。
トイレに行きたくない高校生とか
性教育 場合によってはSTI精査も
「診断、治療の周囲が必要」 …救急外来はそこまでしなくていいけれど
●下痢
・便培養は必要? …細菌性を疑う?
・抗生剤は必要?
・下痢止めは必要?
病歴:
・超急性 〜12時間以内
→ いわゆる食中毒(毒素による下痢)、ほっとけば治る(48時間)
培養も抗生剤も不要。下痢止めはケースごと
・急性 16時間よりあと
→ 細菌を考える
全身の発熱、寒気、震え
血便
便培養を取る
抗生物質は、微妙。
症状がきついひと、
ビブリオは関係ない
赤痢 …抗生剤を使わなくてもだいたい治る
O-157(志賀様毒素)腎毒性ある …抗生剤で悪化するという意見強い
・慢性 何週間も続く
非感染症を考える。旅行中なら寄生虫も(アメーバ、ランブル)
乳糖不耐症
食歴の取り方:
・一番近いところから一つずつさかのぼっていく
・「どこでたべたか」 場所や、調理した人を
「どんな食材を?」 いつ買ったかも
「誰と食べたか」 同じ症状のひとは?
・
潜伏期はまったく覚える必要なし
[ control of communicable diseases manual ]など細かく調べろ
博学的な知識は要らない、厳密に調べる
・pseudo-outbreak
水分補給は
・点滴
・スポーツ飲料 (浸透圧が高すぎてまた下痢する)
・ORS …グルコースと塩分がつくと吸収がとてもよくなる。レセプターがある
1Lの水、5gの塩、20gの砂糖、2.5gの重炭酸ナトリウム、1.5gのカリウム
…点滴は旧時代の治療、とされている
が、点滴するとスカッとする!!
抗生剤みたいに社会的問題ないし…
ORSはまずい!
どれくらい飲む?
…ほしいだけ、だと足りない?
「普段どおりのおしっこが出るまで」
・ノロウイルス(1〜2日)
牡蠣での感染が有名
ほかは、ビブリオ(1〜2日)、A型肝炎(約30日)
世界中でもっとも多い下痢の原因が、ノロ。感染力がもっとも強い。ほんの数個でうつる。
補液さえしておけば怖くはない
アルコール製剤は聞かない。石鹸でごしごし洗え
・カンピロバクターの診察は?
加熱不十分な鶏肉
ギランバレー、ライターの原因に
カンピロバクター疑っていたら、ちゃんと伝えないと
特殊な培地が必要
ニューキノロンの耐性菌が日本ではとても多い
AZMが第一選択
・サルモネラ菌は…
通常は、無症状なら抗菌薬不要だが、
コックなどなら便培養が陰転化するまで
手洗い指導をしっかりと
便培養のフォローは保健所的には必要だが、通常は不要
入院患者の便培養は不要! 検査室いじめでしかない
カンピロやサルモネラは培養不要
●旅行医学
海外旅行でもっとも死亡率が高いのは、交通事故
何十、何百というひとが交通事故で死んでいる
リスクアセスメントが苦手 (タクシーは怖い…)
アセタゾラミドは高山病にいい …アシドーシスで過呼吸OK
インスリンの持ち込み方。便をスーツケースに入れると凍る
エコノミー症候群
太った人、妊婦、凝固異常
→ 水分取る、アルコールのみ過ぎない、運動する
ヘパリン皮下注も手段
海外の下痢
旅行者下痢症 …大腸菌ETEC
ほっといても治るが、抗生剤で速く治る
リファキシミンはRFPの親戚だが、選択的にETECをなおす
下痢止めは…少し前までは使うべきではないと言われたが、
ETECに対しては安全性が高いとわかった
カウンセリング
旅行前・予防
・ワクチン
・予防投与(マラリア予防)
・生活習慣指導
まず聞くは
・どこに行くか
地域、国が重要
・いつ行くか
予防効果は1ヶ月かかる
・期間は
3〜4日はOKも、1ヶ月いるならB型肝炎も(STIだけど)
狂犬病も
そして調べる
・CDCにいけば、検索できる
WHOも似たようなサイトを持っている
リスクあれば予防接種を
狂犬病は、
予防接種もあるし、
かまれた直後にうつこともよし
南半球にいくひとは、日本の夏季にインフルエンザ、赤道なら通年である
破傷風はブースターも10年ごとにうつべき
1968年より前のひとは三種混合うっていないので、3回打たないと。
不活化ワクチンは筋注
生ワクチンは皮下注 (皮内注にならないように!)
ワクチンは同時接種できる
黄熱病は検疫所でしか打てない…
ペルーとかいくのに…
免疫低下(COPD、腎不全)は 積極的にやらないと! (説明書はウソ!)
局所反応はアレルギーではない
『red book report』が旅行前ワクチンについて詳しい
・マラリア予防
メフロキン (ポピュラー)
〜週に一回、帰ってきてからも4週間! 飲み忘れて発症しやすい
ドキシサイクリン(こまったときに)
クロロキン(古典的 ほとんど耐性)
マラロン(アドバコン・プログアニル合剤)(海外で話題! 帰国後1週間でやめられる)
スタンドバイセラピー
治療薬を持参させる
実はチフスだった、ということなどもありうるので…
・生活習慣指導も!
「旅の恥は掻き捨て」?
「蚊に刺されない」 夕暮れでない、長袖、殺虫剤
・旅行後の発症
デング熱
渡航者は増えている
旅行歴は必ずチェック!
バングラディシュから帰ってきた人が熱でたら
・そうでないと確信とれるまで「マラリア」
デングは勝手に治るけれど…
検査、血液塗抹を
検査できないならすぐ相談を
[ Travel medicine ]
●STI
婦人科系の病気は見逃しがち…
プライマリケアでも性器の診察を
男性の生殖器は訓練受けていない
立位で
鼠径のリンパ節( クラミジア合併の鼠径リンパ肉芽腫 とか)
陰毛 (毛じらみ) 皮膚も
上側 皮疹チェック (梅毒)
裏側
陰嚢を両手でもって、精巣のmassチェック
精巣上体 軽く握って痛みあるか?
会陰 肛門病変ないか 痔核やヘルペス
亀頭 カンジダ亀頭炎あるか、
尿道は開いてみてみる。炎症があれば見える!
・見つけたときの大原則
1)すべてチェック
性器病変:梅毒、クラミジア、淋菌、軟性下疳、子宮頸がん、センケイコンジローマ、
性器に病変なし:梅毒、HIV、B・C型肝炎
2)パートナーも治療
●梅毒
昔からあるが、培養が難しくてまだよくわかっていない
1期 下疳(潰瘍病変、ヘルペスと違って1個だけ、ピザのような辺縁)
血清額的検査は感度が低い、暗視野の顕微鏡で
2期 全身の皮疹。水泡以外は「なんでも」できる。
神経梅毒
診断難しい
3期 血管炎など、先進国ではまれ
latent(無症状梅毒)
感染後1年以上たっていると、late
治療
ベンザシンペニシリン 筋注1回!
日本にはこれがないので、
アモキシシリン2〜3g1日2回+プロベネシド500mg1日2回を2〜3週間
アレルギーあればテトラサイクリン
TPHAは、防御として一生のこる
RPRは追いかけろ 2週間後にフォローしても無駄
1年後におちるかな。3ヶ月に1回。
RPRは2倍くらいにとどまって下がらないこともある serofast reaction は治療成功
…高いときは、治療失敗か再感染
●陰部ヘルペス
HSV-2
水泡を破って、潰瘍のそこのところをひっかいてきて、ツァンク法などで巨核球をみることも
初感染は、両側性、多発性、有痛性
再発時は、症状軽くて変則性が多い 〜少なめでいい
●クラミジア
尿道スワブ
尿培養
DNAプローブ法(感度・特異度99%) 日本では男性のみ保険とおる
通常の治療は、AZM 1g
淋菌を見つけたらクラミジアも治療
●淋菌
二酸化炭素増やした変わった培養で
GNC
グラム染色や培養で
ニューキノロン …も耐性化
CTRX 125mg筋肉注射1回
〜CTRX 1g 1回点滴 も手
●治療のあとに性教育
コンドームつけない
不特定多数
よく知らない相手
できるだけ具体的に!
コンドームは正しいつけ方を
勃起してから
勃起している間に抜く
潤滑液は水性を
梅毒、ヘルペス、パピローマは100%は防げない
症状がなくても調べてもいいか?
→いいことでしょう。クラミジアとか症状ないし
子宮頸がんは感染症だから18歳でなることも
●HIV
日本は感染者がどんどん増えている
膣は扁平上皮なのでそのままなら移りにくいが、ヘルペス・クラミジアがあると…
若い人が肺炎などを繰り返し「年寄りみたいだな」
検査
ELISA …抗体を測る。が、感度は高いが特異度低い
〜 ここで、×「HIVかもしれません」○「判定保留中です」
WB … これで確定を
ウインドウピリオドはPCRで
ここでの投薬で、AIDS発症を防ぐ可能性あり
伝染性単核球症!
若い男性の無菌性髄膜炎はHIVを必ず疑うべき!
ウイルス価は、進行スピードと関連
「ちょっと頭痛い」 軽症でもクリプトコッカス髄膜炎かもしれない!!
「気分悪い」 乳酸アシドーシスだったり…