◆今日の気持ち
(脳外科 5週目)
・今日も怒られた…。
インフルエンザ発症した職員、でもおそらく発症して2日以上経過している、にタミフル処方しろ、と上司に言われて、従えなかったからだ。
48時間より前に発症したという証拠はない、48時間を越えて使用しても非常に症状が軽減したという症例報告がある、のが上司の論理だけれどevidence-levelは低い論理だと思う。
日本の抗ウイルス薬の乱用で耐性株が発生して将来的に問題が起きると予想されていることとか世界の全薬剤流通量の7割以上を日本が使用して世界に迷惑をかけているとかの公衆衛生の問題は現場の医師が考えるべきことではないのか。新型インフルエンザの出現にアンテナを伸ばし準備することは臨床現場の医師がするべきことではないのか。上司の言うことが論理的に間違えていて将来的に害があると論理だてることができていても目の前の患者に益がある可能性がわずかでもあるならば逆らうことは悪だから従うべきなのか。その益がおそらくないと予想できても従うべきなのか。状況が改善するという報告があるといえその報告のlevelが低いのではないかと推測できても従うべきなのか。それが、社会で医療を行うということなのか。そこで強制されるべきが研修というものなのか。他の医師の処方に手を出してはいけないのが医師・医療のルールだから従うことを覚えなければいけないのか。
そもそも、evidence-levelの高い論文では、症状は強まると報告されている。症状が改善された症例報告があったろことで信用し得ない。また、何も使わなくても治るのが健常者のインフルエンザだし、漢方薬という代替策もあるし。なんてことを考えてはいけないのが研修医というものか。
とてもとてもとても小さなことだけれど、曲がっていることでも上司に白と言われたら黒くても白といわなければいけないのは、嫌い。でも見過ごして意識殺して組織の論理に従うべきが、医師として成長するということなのか。
…まあ、飛び降りとかの副作用を気にしていると上司に思われたのかもしれないな。そんな統計で計算できもしないものに興味はないのだけれども。
出してみた治療案もおそらくは感情論、論理なしで潰されるし…。研修医が自分以上のことを何か知っているのって、許せないのだろうな。日々、ふと振り返るとデータは少なく不安な診療の中、自分の決断を揺らしながら診療するってストレスだろうし…
まあ結局、俺の患者に俺の知らないところで触るな、意見言うな、頭使うな、余計な病気は見つけるな、真似する以上のことは認めない、といつも圧力かけられていた外科研修だったけれど、それが外科というものか…。上司が見落としていた神経内科な疾患見つけても嫌味言われるだけだったっけな…。
お前は患者じゃなくて病気を見ている、とよく説教されたけれど、でも、患者をみていろいろ考えてオーダー書いても議論なくばっさり変更されるし、必死で勉強しても上司の知識を超えるものは許可はでず上司はそのこと勉強する気もないし、時には嫌味な根拠のないお説教もくっつくし、患者を診るだけ消耗する日々に疲れ果ててるところにお前は患者を診ていない、とお説教されるし。
本来面と向かって論じ切れればいいのだけれど、研修医程度の意見など聴く耳を持つ気はないのが上司というものだし…。経験と責任取れて責任もある立場からのプレッシャーには、経験の裏づけのない論理じゃ勝てない…。
それに結局は感情論だしな。上司の感情のコアは一番最後に念を押された、
「ぼくの患者だ」
だと思うし。論理が通用するわけがない。
自分でやるのが嫌だというから処方は他の医師に頼めと指示だしたのだから指示通りにしないのはいかんと怒られた。でも根本が間違えていると思っているのに、議論もせずに簡単に従えない…。そんな仕組みが医療事故を防げない現場をつくるわけで…。教育する気もないから、指定どおりに動かないのが頭にくるのだろうな。もしくは議論して頭の中身を整理するのが教育ではなくて、上の考えをコピーさせるのが教育だと思っているのだろうな。専門は外科だし、内科を学びたいという欲求はないのだろうな…。opeが終ってからいろいろ動き回る必要があったとちくりと言われたけれど、本来どちらでもいい治療ではあるけれど自分のプライドのために自分の治療方針を押し通さなければ気がすまなかったのからだと思うし責任を押し付けられても困るし…。でも医者にプライドがあるからしんどい状況でもがんばって、今の理不尽な医療が成立するわけだし…
意見を持たないで先回りしてくれる部下が、一番チーム医療には都合がいいのだろうな…
そんなふうに従うのが、教えてもらっているお荷物の礼儀、なのかな。
最後の最後で、めんどくさいな…
黙って組織に従う小利口なことは、やっぱり大切なのかな…
結果としては、体制にも公衆衛生にもほとんど意味のない、誰の生命を救うわけでもない一研修医のこだわりでしかないものだし…
でも、間違っていると思っていることにも従わなきゃいけないのとか意見を聴く気もない体制に従うのは嫌だし…。ここで簡単に譲ったら、自分の倫理の「堤防」がどんどん壊れていく未来を感じるし…。
つくづく、勉強がんばればがんばるほど潰されるのが、研修というものだ…。
余計なことはしない。2年間、黙って見ている。それがスーパーローテーターには求められることか…。
・ともあれ、これを機会にインフルエンザのevidenceをもう一度あらってみよう。
・なんでここまで大量のタミフルやリレンザを実地医家の先生が使用するのか理解できていなかったのだけれど、理解できたのは収穫だった。抗生剤・抗ウイルス薬への耐性への意識って、現場では持たない方が普通なんだな。
・ともあれ、疲れた…。
・ナート
針が創に直角に動かない…
経験がまだまだ少なすぎる。やっぱり人の皮膚の感触はキットとは違う
●今の目標
・脳外科を味わいきる
●今日の新患・診断
・転倒、前頭部外傷
・感冒 →咳で肋骨骨折
●今日の病院滞在時間
8時〜18時半
●今日行ったこと・見たこと・知ったこと
・頭部外傷
必ず頚部もチェック
・ナート
形成的な傷。白い糸が出てきたら、後の抜糸とかでたいへんだから出されたらその場でつき返すこと